住民が主体となって積極的にすすめる鹿の子台のまちづくり

神戸市北区と三田市をまたぐ広い丘陵地に作られた新興住宅地のうち神戸市域に属するエリアは「神戸リサーチパーク」と呼ばれる。「神戸三田プレミアムアウトレット」の存在する場所といえばご存知の方も多いだろう。街開きから間もなく30年を迎えるが、街はどの区画もまだ新しく、現在でも分譲開発中のエリアがある。鹿の子台では街開きしてまもなくして組織された自治体活動により住民主体の積極的な活動を行い、交通・防犯・教育などのまちづくりの重要な部分での一役を担ってきた。「自分たちの街を自分たちで作る」その活動を支えている「鹿の子台自治協議会」の副会長である辻本氏にお話をうかがった。

鹿の子台自治協議会 副会長 辻本 悠丞(ゆうしょう)さん
鹿の子台自治協議会 副会長 辻本 悠丞(ゆうしょう)さん

――まずは、鹿の子台という街について教えてください。

辻本さん:鹿の子台は「神戸リサーチパーク」と呼ばれる新興住宅地のひとつのエリアです。「神戸リサーチパーク」は鹿の子台・上津台(こうずだい)とまだ住居はできていませんが赤松台の3つの居住エリアで構成されています。1991(平成3)年に街開きをして自治会が1998(平成10)年頃に誕生しました。鹿の子台の街の特徴としては、「災害に強い街」「教育環境の充実」「ショッピングセンターの充実」「安全で安心に暮らせる街」「交通の便の良さ」「地域活動の充実」というところかなと思います。

自治体集会所
自治体集会所

「行政には頼りすぎても頼らないのもダメ」ベースはあくまでも住民主導

――なるほど。本年度も防犯カメラを設置するなど、安全対策の活動もあるようですが、自治会ではこれまでに、どのようなまちづくりに取り組んできたのでしょうか。

辻本さん:典型的な自治体の活動としては夏祭りやお正月のとんどなど季節の行事の活動があります。それ以外に鹿の子台の自治体がこれまでに取り組んできたことは、地域住民が安心・安全に暮らせるよう住民自らの力で積極的に街を作ってきたということです。児童の見守り活動などはもちろんのこと、行政や警察との強い連携で信号機の増設やタイミング修正、街灯の増設、横断歩道の設置などを住民から働きかけています。一般的にはこういうことは議員さんにお願いしてというワンクッション置いたイメージがありますが、鹿の子台では場合によっては直接市長に掛け合うというようなこともあり、住みよい環境づくりを住民発案でしかもスピーディーに行うということに尽力してきました。
ご紹介いただいた防犯カメラも今年はこれから2台増設の予定で、計16台が街のなかに設置されることになります。こういう活動が犯罪や不審者出現の抑制につながっていることはしっかりとデータ上でも見てとれます。また年4回住民による周辺清掃なども行っています。道路わきなどに落ちているゴミもかなり少ないと思います。

集会所付近から見た街並み
集会所付近から見た街並み

災害に強い街 地の利と周辺施設との連携で万全な備え

――本当にゴミが少ないと感じました。どこを歩いても昨日清掃されたかのように綺麗ですね。災害に強い街というのは具体的にはどういったところがあるのでしょうか。

辻本さん:鹿の子台は標高200mの高台にあるのですが、この鹿の子台だけでなく周辺エリア全体が広い丘陵地になっているので、一般的にイメージする起伏の激しい高台ではありません。氾濫する川はないですし崩れてくるような山は近くにありません。鹿の子台周辺エリアは地質学的なデータからも地盤が強固な場所となっています。そのおかげか、先日の地震でも台風の大雨でも被害といったものは出ていません。そうした地形学的な災害に強いメリットから郵政が西日本のデータ拠点をここに置いたという経緯があるほどです。またその拠点に確実に電源を供給する目的で関西電力の施設もあり、災害時には鹿の子台にはここから電気供給を受けられるメリットもあります。また水が不足した際には「キリンビール神戸工場」からの水の供給を受けられます。

鹿の子台エリアの街並み
鹿の子台エリアの街並み

――すごく心強い街ですね。

辻本さん:もともとの地の利を活かしながら自治体と住民と行政で努力して利便性を高めてきたということです。

――教育環境の充実という面ではいかがでしょうか。

辻本さん:子育て世代のご家庭には特に学童保育が気になる部分であると思います。鹿の子台には保育園、幼稚園、児童館とあり児童館については現在ほぼ満杯に近いという状況ですが、神戸市教育委員会と連携して小学校のなかに児童館の第二棟を建設して来年の4月からの受け入れ体制が整っています。こうした状況を踏まえたうえで、今後の受け入れ体制が整っているのも独自の取り組みの成果のひとつです。また校区には「鹿の子台小学校」と「北神戸中学校」がありますが、開かれた学校運営を目指していじめについての情報開示を行っているのも、地域組織やPTAと教育機関との積極的なコミュニケーションで実現しています。また伝統ある進学校として有名な「三田(さんだ)学園」も近くにあり、中高一貫教育を望むのであれば選択肢のひとつになると思います。

鹿の子台小学校
鹿の子台小学校

――「神戸三田プレミアムアウトレット」などは全国的にも有名なお買い物スポットですね。

辻本さん:そうですね。プレミアムアウトレットと隣り合わせで「イオンモール 神戸北店」もありますし、同じ道路の並びでヤマダ電機さんもあります。ここ鹿の子台では「マックスバリュー」「スーパーマルハチ」「ナフコ(ホームセンター)」「ケーズデンキ」「関西スーパー 八多店」さんなどお買い物するのには困らない充実具合です。プレミアムアウトレットは程よく離れているので休日の交通で生活道路に住民以外の車が入り込んでくるといったこともありません。またこうした近隣のショッピング施設から防犯交通安全協会や保護司会に支援やご協力をいただいております。

スーパーマルハチ
スーパーマルハチ

また、交通の便では意外と知られていないこともありまして、高速バスを使って新大阪や大阪、新神戸、三ノ宮、また伊丹空港にも行くことが可能です。場合によっては他の公共交通ルートより早かったり運賃が安くなるケースもあり、知っていらっしゃる方は積極的に利用されています。例えば新神戸・三ノ宮へは中国道の「鹿の子台西口」バス停留所があります。こちらは電車より少し遅くなりますが、電車では運賃が片道1,000円程であるのに対し、バスだと600円程です。バス停までも近く座って行けるので便利です。

中国自動車道だけでなく山陽自動車道なども利用しやすい「西宮北」IC
中国自動車道だけでなく山陽自動車道なども利用しやすい「西宮北」IC

一歩先を見据えることで他より2歩、3歩と先を行く

――計画中の活動や今後の展望についてはいかがですか?

辻本さん:鹿の子台に関わらず住民の高年齢化が進んでいきますので、その対策は公共交通機関さんや行政への働きかけを行っています。今すぐに実現できるものではないですが、今から動かないと遅れてしまいます。一例を挙げると高齢者でも元気な人は車を運転できますが、それができない人のためにはバスなどをもっと本数を増やして便利に使えるようにできたらと考えています。単純にバスの増便やコミュニティーバスの運行などが考えられるのですが、バス会社さんからは増便は難しい、またコミュニティーバスは行政からの解答では過疎地域でないために難しいということになっています。いわゆる行政の壁です。この行政の壁の敷居をなんとか低くするとか、別のアイデアも模索したりしています。
例えば車で家族を駅まで送るときに、登録制で相乗りできるシステムを作ったり、もちろんそのアイデアにも壁はありますが、いまそういう取り組みを行っておくことが意味のあることだと考えています。
移動スーパーのニーズも高まってきていますが、実態把握などを行って、この鹿の子台の街に則したさらに上のアイデアがないかというようなことも積極的に考えていきたいと思っています。

――鹿の子台エリアの魅力はどんなところだと思われますか?

辻本さん:やはり自然が豊富で空気がいいこと、穏やかな環境であるけど、日常の生活に不便がないというところです。最初にお伝えしたように災害に強い街であるというところも大きなアドバンテージだと思います。「掖谷(ねぶたに)公園」など野球場とテニスコートを備えた大きな公園も道路を挟んですくそばにあります。非常にバランスのとれたいい環境だと思っています。

ねぶたに公園
ねぶたに公園

――これから鹿の子台エリアに住まわれる方にメッセージをお願いします!

辻本さん:街開きから27年が経ちますが、鹿の子台はまだまだ若い街でこれからの将来性にも富んでいると思います。ぜひ一緒に力を合わせてこれからの明るいまちづくりを行っていきましょう。「住民でここまでやったから、ここから先は行政が力を貸して!」というふうに行政を動かす力は住民主体の活動が源になります。その活動を行ってきた鹿の子台の自治体運営に、新しく街に住まわれる方もぜひ前向きに参加を考えて頂けたらと思います。

副会長 辻本 悠丞さん
副会長 辻本 悠丞さん

鹿の子台自治協議会

副会長 辻本 悠丞(ゆうしょう)さん
URL:http://furemachi-knk.org/
※この情報は2018(平成30)年9月時点のものです。