スペシャルインタビュー

新たな「神戸らしさ」として、再開発が進むウォーターフロントエリアの魅力

神戸三宮の南に位置する神戸ウォーターフロントエリアは今、関西圏において特に注目されているエリアです。かつては人通りが少ない「物流拠点」というイメージでしたが、今や再開発が進み、子ども連れや若いカップルの姿が行き交うおしゃれな街へと生まれ変わりました。「神戸ポートミュージアム」や水際緑地などが整備され、まさに「神戸らしさ」に満ちた魅力的な街として変貌を遂げる神戸ウォーターフロントエリアについて、今回、株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構 事業推進課長の風嵐(かざらし)さんに話を伺いました。

インタビューに応える株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構 風嵐(かざらし)さん
インタビューに応える株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構 風嵐(かざらし)さん

民間の力で、開発に臨む

――ウォーターフロント再開発事業の概要と経緯について教えてください。

風嵐さん:かつてこの辺りは、多くの船が係留する神戸の玄関口として栄えていました。しかし近年、物流拠点が「六甲アイランド」や「ポートアイランド」などの沖合へと移ったことを受け、遊休化したウォーターフロントを賑わいの拠点として有効に活用するため、再開発が始まりました。市街地である三宮とウォーターフロントが近接するという他都市にない立地特性を踏まえた「港都 神戸」グランドデザインが掲げられ、現在、その利用方針に基づいて再開発が進められています。

2021(令和3)年度 ウォーターフロントの航空写真(提供:株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構)
2021(令和3)年度 ウォーターフロントの航空写真(提供:株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構)

――ウォーターフロント再開発事業の特徴と魅力を教えてください。

風嵐さん再開発の考え方の軸となっているのは「民設民営」です。民間の柔軟な企画力・ノウハウ・実行力を最大限に活かすことで、新たな賑わい創出やまちの活性化等の相乗効果が生まれ、都市間競争に負けない持続発展的なまちが形成できると考えています。私が印象的だった柔軟な発想に関する例として、昨年10月にオープンした「神戸ポートミュージアム」が挙げられます。グランドデザインでは文化・創造産業複合エリアに位置付けられており、その土地利用方針に沿った事業提案としては、美術館などがイメージできたのですが、民間のアイデアによってアクアリウム、フードホール、ブライダルデスクで構成された複合文化施設「神戸ポートミュージアム」の建設に至りました。

「神戸らしさ」を大切に新たな施設が続々オープン!街にも変化が

株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構が入居するビル
株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構が入居するビル

――現在、ウォーターフロントエリアにはどのような施設が開業していますか。

風嵐さん:新港突堤西地区にある「神戸みなと温泉 蓮」さんは、2012(平成24)年に公募を行い、2015(平成27)年12月に開業しました。さらに2021(令和元)年には、「神戸ポートミュージアム」や「フェリシモ チョコレート ミュージアム」がオープンしました。神戸ウォーターフロント開発機構が入居しているジーライオンアワーズビルも昨年完成したばかりの建物です。

――全体の完成はどれくらいを想定していますか?

風嵐さん:グランドデザインは2011(平成23)年に策定し、20~30年後の将来像として掲げられましたが、空いている土地を開発していくというわけではなく、現在稼働している施設で働く方々にもご理解いただきながら行う必要があるので、グランドデザインで掲げる将来像が実現する日は正直想定できません。

アクアリウムやフードホールなどで構成された複合施設「神戸ポートミュージアム」
アクアリウムやフードホールなどで構成された複合施設「神戸ポートミュージアム」

――「神戸ポートミュージアム」は、神戸の街に合うものを意識されているように感じました。「神戸らしさ」も基準の一つになっているのでしょうか?

風嵐さんそうですね。常に「神戸らしさ」は追い求めています。神戸といえば「オシャレ」と言っていただくことが多いですが、オシャレさだけではなく国際交流・文化交遊の街として、多様性も取り入れたいと考えています。

――開業後の、市民の方の反応についてお聞かせください。

風嵐さん:ウォーターフロントエリアといえば、かつては物流倉庫が建ち並ぶエリアでした。昼間はトラックが走っていて人通りは少なく、おそらく「夜に行くのは怖い」というイメージがあったかと思います。しかし、「神戸ポートミュージアム」ができたことをきっかけとして、子ども連れのご家族やカップルを多く見かけるようになりました。観光といえば「神戸ハーバーランド」と「メリケンパーク」で完結していた所が、足を伸ばしていただけるようになったと実感しています。まさに街の人の顔ぶれが変わったように感じています。

「神戸らしさ」を大切に新たな施設が続々オープン

水域を活用した賑わい創出のイメージ(提供:株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構)
水域を活用した賑わい創出のイメージ(提供:株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構)

――今後、オープンする施設について教えてください。

風嵐さん:第一突堤基部に、総戸数700戸のマンションが2棟建設中です。第二突堤には、一万人規模の「(仮称)神戸アリーナ」が開業する予定です。今後の取り組みとしては、水域を活用した新たな賑わい創出を構想しています。今までは単に船舶が休憩するバースとして利用される水域でしたが、今後は、例えばクルーザーが停まれるマリーナなど都市的な水域活用を目指していきたいと考えています。

現在、リニューアル工事中の「神戸ポートタワー」
現在、リニューアル工事中の「神戸ポートタワー」

――神戸のランドマーク的存在である「神戸ポートタワー」についてもリニューアルするとのことですが、具体的にはどのようなリニューアルになるのでしょうか。

風嵐さん:「東京タワー」や「通天閣」はテレビ塔としての機能がメインですが、「神戸ポートタワー」は展望のために作られた純粋な展望タワーです。開業60周年に向けて、耐震補強や老朽化対策のための工事が進められています。さらに、改修を機に、屋上に展望歩廊を設置することになりました。今までは室内からの観覧でしたが、屋上から360度神戸の街並みを一望できるようになります。内装工事や運営は民間業事業者が行う予定ですので、今後さらに色々な仕掛けや催しが行われる可能性もあります。楽しみにしていてください。

神戸市一丸となって街づくり 持続可能な未来へ向けて

日本三大中華街の一つの「南京町」
日本三大中華街の一つの「南京町」

――神戸の街の魅力について教えてください。

風嵐さん:山と海と街、全てが近い“コンパクト感”にあると思います。さらには「神戸旧居留地」や「南京町」など、国際色豊かな一面もあります。どこへ行くべきか迷ってしまうほどたくさんのコンテンツがあることこそ、神戸の魅力だと考えています。またアクセス面におきましても、新幹線やフェリーの駅、「神戸空港」が近くにあり、まさに陸海空全てにおいて利便性の高さを感じます。

フォトスポットとしても有名な「BE KOBE モニュメント」
フォトスポットとしても有名な「BE KOBE モニュメント」

――ウォーターフロントエリアの再開発が進むことにより、神戸にとって大きな変化につながるかもしれませんね。

風嵐さん:はい。再開発でまちがより魅力的なものになれば、神戸全体が活気づくと期待しています。ウォーターフロントエリアに行けば一日中遊べると思ってもらえるようになるのも理想ですね。現在、「三宮」駅周辺でも再開発や市役所の建て替えも進められています。良い相乗効果が生まれるのではないかと期待しています。

きれいに整備された「水際緑地」すでに多くの方の憩いの場となっている
きれいに整備された「水際緑地」すでに多くの方の憩いの場となっている

――新しく生まれ変わりつつあるウォーターフロントエリアの魅力を教えてください。

風嵐さん:神戸らしさとはただ新しさからだけ生まれるものではなく、歴史などの積み重ねも要素となっていると思っています。例えばデザインクリエイティブセンター神戸「KIITO」はかつて旧生糸検査所で、当時の外観を生かしたクリエイティブ拠点が作られています。つまり、完全に新しくするのではなく、まさに神戸らしい新旧の良さが入り混じった街づくりこそ、ウォーターフロントエリアの魅力だと考えています。

――最後に、これからウォーターフロントエリア周辺に住まれる方々に向けてメッセージをお願いします。

風嵐さん:「働く人」「住んでいる人」「訪れる人」全員が街に関係することではじめて、街が創られます。まさに街の顔は、そこに行き交う「人」なんです。周辺に住まわれる方には、日ごろから散歩で足を運んでいただいたり、ウォーターフロントエリアで行われるイベントなどに参加していただければ嬉しいです。持続可能な未来に向けて、ワクワクしてもらえるような街づくりを行ってまいりますので、どうぞご期待ください。

経営企画部事業推進課長 風嵐 陽太(かざらし ようた)さん
経営企画部事業推進課長 風嵐 陽太(かざらし ようた)さん

株式会社 神戸ウォーターフロント開発機構

経営企画部事業推進課長 風嵐 陽太(かざらし ようた)さん
所在地:兵庫県神戸市中央区新港町11-1 ジーライオンアワーズビル4F
URL:https://kobe-waterfront-development.ink/
※この情報は2022(令和4)年3月時点のものです。

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