保護者会主導で制服リサイクル制度のある学校

保護者や地域の意見を学校運営に反映! いち早く学校改革を行ってきた「桃山台中学校」の今に迫る

水口 尚之 校長先生
水口 尚之 校長先生

ICT教育の推進、英語教育の強化、地域連携型教育など、学校教育に力を入れている神戸市において、その最先端を行くのが神戸市立桃山台中学校です。地域との深い結びつきを持ちながら、ICT機器を導入した学習環境や革新的な教育プログラムを提供しています。今回は、水口 尚之校長先生に学校の特徴や教育目標、ユニークな取り組みについてお話を伺いました。

桃山台中学校の校舎
桃山台中学校の校舎

――まずは、桃山台中学校の歴史と現在の学校概要を教えてください。

水口校長:桃山台中学校は1982(昭和57)年4月に開校されました。当時、新興住宅街の発展に伴い、新たな中学校として誕生しました。現在、全校生徒数は469名で、1年生から3年生までそれぞれ4クラス、さらに特別支援学級が2クラスの合計14クラスが設けられています。学区は下畑台小学校とつつじが丘小学校に加えて、名谷小学校の一部です。

桃山台中学校の体育館の外観
桃山台中学校の体育館の外観

――桃山台中学校の教育の特徴を教えてください。

水口校長:桃山台中学校の教育目標は「自主・友愛・奉仕」です。生徒一人ひとりの個性を尊重し、自己実現をサポートする教育を推進しています。最近では、生徒一人につき、学習用のパソコン1台を貸与し、授業や家庭での学習に活用します。さらに当校では、学力向上を目指し、特に数学と英語において習熟度別授業を実施しています。この取り組みは前校長の福本靖先生が導入し、生徒の理解度に応じたきめ細やかな指導が行われています。2年生の数学と3年生の数学、英語の授業で実施されており、生徒や保護者からもとても好評です。福本靖先生は、PTA改革、学力向上、ICT教育などの取り組みが注目を集め、「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2020」を受賞したほどの方です。当校では、放課後学習支援や朝の学習時間の確保など、学習環境の整備にも力を入れています。これらの取り組みにより、生徒たちは自主的に学ぶ姿勢を身につけ、将来に向けての基礎力を養っています。

桃山台中学校の長く伸びる廊下
桃山台中学校の長く伸びる廊下

――桃山台中学校は神戸市内でいち早く、PTA改革を行ったとお聞きしました。その内容や保護者とのかかわりについて詳しく教えてください。

水口校長:福本先生の指導の下、桃山台中学校はPTA改革を行い、2024(令和6)年4月から「保護者の会」という形に変更しました。これにより、PTA会費を廃止し、必要な時にボランティアを募る形式に移行しました。この変更は保護者の負担を軽減し、より柔軟な協力体制を築くことを目的としています。また、カバンの自由化や自動販売機の導入など、保護者の意見を取り入れた先進的な取り組みも行っています。特に、熱中症対策として導入された自動販売機は、部活動や体育会などで活用しており、生徒や保護者からも高く評価されています。

さらに、保護者と学校とのコミュニケーションを重視し、定期的な保護者会を開催しています。これにより、保護者が学校の教育活動に積極的に関与できる環境を整えています。また、保護者からの意見や要望を積極的に取り入れることで、より良い教育環境の実現を目指しています。これらの取り組みにより、学校と家庭が一体となって生徒の成長を支える体制が整っています。

桃山台中学校の広々としたグラウンド
桃山台中学校の広々としたグラウンド

――桃山台中学校で推進しているICT教育について詳しく教えてください。

水口校長:神戸市では「1人1台端末」制度を導入し、全生徒に学習用パソコンを貸与しています。桃山台中学校では、この端末を活用した授業を積極的に行っており、生徒たちは情報活用能力を高めています。毎学期、生徒と教師に対して端末の使用状況についてアンケートを実施し、教育効果を高めるための取り組みが継続されています。具体的には、オンラインでの共同作業やリサーチ活動、プレゼンテーションの作成など、多岐にわたる活用方法があり、生徒たちはICT技術を自然に身につけることができています。また、保護者とのコミュニケーションもデジタル化され、よりスムーズな情報共有が実現されています。この取り組みにより、生徒たちはデジタルリテラシーを高め、将来のキャリアに役立つスキルを身につけています。教師にとっても、デジタル教材の活用や授業の効率化が図れるため、より質の高い教育を提供できています。

校内にある武道用施設
校内にある武道用施設

――桃山台中学校では地域と連携して、学校運営を進めているとお聞きしました。詳しく教えてください。

水口校長:神戸市立桃山台中学校では、地域との密接な連携を重視しています。その取り組みの中心にあるのが「学校運営協議会」、いわゆるコミュニティスクールです。これは、地域や保護者の意見を取り入れ、学校運営に反映させる仕組みで、学校と地域が一体となって生徒の教育環境を向上させるための重要な役割を果たしています。桃山台中学校の学校運営協議会は、地域の代表者3名(下畑地区、名谷地区、つつじが丘地区の長)、保護者2名、地域外の団体の方2名の計7名で構成されています。これらのメンバーが定期的に集まり、地域や保護者の意見を参考にしながら学校運営について話し合います。

学校運営協議会の具体的な取り組みとして、地域の飲食店や販売業者と連携し、生徒たちの職場体験学習が挙げられます。また、不登校対策として設置されたサポートルームでは、地域の退職者やボランティアが生徒を支援しています。これは、協議会のメンバーが地域のネットワークを活用してサポーターを募った結果であり、地域の力が教育現場で大きな役割を果たしています。学校だけでは解決できない問題も、地域の皆さんの協力で乗り越えることができます。運営協議会の存在は本当にありがたい存在です。

開発が進むみずき台
開発が進むみずき台

――最後に学区エリアの住環境についての魅力を教えてください。

水口校長:学校周辺は静かな住宅街であり、教育環境として非常に適しています。近隣には公園や緑地が多く、生徒たちの憩いの場となっています。また、幹線道路沿いには「マルアイ」や業務用スーパーなどのスーパーマーケット、「ヤマダデンキ」、「カインズホーム」、「ダイソー」や「キリン堂」など、生活に必要なショップが点在しており、買い物環境としても申し分ありません。特に、みずき台周辺はこれから開発が進む先進的なエリアなので、子育て世代にはおすすめです。いずれ、みずき台の方にも学校運営協議会や保護者の会に入っていただいて、建設的な意見をいただければ学校運営に活かしていきたいと思います。

水口 尚之 校長先生
水口 尚之 校長先生

神戸市立桃山台中学校

校長 水口尚之先生
所在地:兵庫県神戸市垂水区桃山台4-8
電話番号:078-752-1201
URL:https://www.kobe-c.ed.jp/mmy-ms/
※この情報は2024(令和6)年6月時点のものです。