地域住民が集う商業&公益複合施設「ピピアめふ」
阪急宝塚線「売布神社」駅前に位置する「ピピアめふ」は、スーパーマーケット「コープめふ」や専門店街などの商業エリアと、宝塚市の公益エリアからなる複合施設。特に公益エリアでは、季節に応じたさまざまなイベントが開催され、幅広い年齢層の方が利用されている。
今回は宝塚市公益施設「ピピアめふ」館長の小山 出さん、事業担当の矢野 名美さん、株式会社関西都市住居サービスの売布営業所 管理課長の福寿 剛さんから、そんな地域の交流拠点となっている施設の公益エリアについて、お話をお伺いした。
震災からの復興として建てられた防災施設
――まずは、「ピピアめふ」の施設の概要を教えてください。
小山館長 「ピピアめふ」は阪神・淡路大震災後の1998(平成10)年に、宝塚市によって建てられた防災施設です。地下1階から2階はスーパーマーケット「コープめふ」や専門店が入っており、食料品や生活雑貨などの販売だけでなく、カルチャースクールなどもあり、住民が日常的に利用できる商業エリアとなっています。
小山館長 4階からは我々が管理・運営している公益エリアです。軽い運動ができるライトスポーツルームや大型で広いキッチンスタジオ、料理の他にも小規模のフィットネスやダンスができるダイニングキッチン、寄席や落語、発表会などが行われる和風ホール「めふの間」など、さまざまな用途に使える施設があります。
5階には宝塚市の行政サービスや2つのスクリーンを有する映画館「シネ・ピピア」や映画館に併設されたカフェ「バグダッド・カフェ」もあり、それぞれににぎわいがあります。また、屋上庭園には茶室「ピピア庵」も建てられています。
――「ピピアめふ」における、皆さまの役割を教えてください。
小山館長 公益エリアの責任者として、管理と運営に加えて、職員の労働管理も行っています。
矢野さん 私は、公益施設の受付や自主事業&公演の企画を担当しています。また、フロアの装飾やチラシなどのにぎわいづくりも担当しています。
福寿さん 震災以前、この地には「売布神社」駅前市場があり、たくさんのにぎわいがあったそうです。震災で市場が全壊したことで、宝塚市が震災復興事業として建てられたのがこの「ピピアめふ」です。私の役割としては管理事務所として、「ピピアめふ」の各階の共有部分の管理を行っています。
地域交流・文化拠点としての発信
――こども将棋大会やお料理教室、寄席など、多く企画をされているそうですね。イベントの企画に際し、なにか重視されていることなどありますか?
矢野さん イベントは、さまざまな年齢の方が楽しめるように企画しています。例えば、夏に企画した「親子deミニ四駆体験イベント inピピアめふ」では、たくさんの親子にご参加いただきました。6階の和風ホールにサーキット場を作り、大盛り上がりのイベントとなりました。
また、当施設は防災施設でもあるので、「知ろう!学ぼう!防災フェス」という防災イベントを開催し、楽しみながら防災を考えていただける機会を作っています。
毎月のイベントですと、季節に合わせてフロアの装飾を変えています。私が作った装飾に、子どもたちが目や鼻をつけて飾り付けるなど、一緒に楽しんでいます。今年の9月には、秋の味覚をテーマにしたサンマの装飾を作りました。二週間後に骨だけになったサンマの装飾に変えたところ、子どもたちは「誰が食べたの?」と笑顔で楽しんでくれました。この場所は、多くの方が写真を撮る人気のフォトスポットとなっています。
――文化拠点として、映画館の存在も大きいですね。
小山館長 かつて宝塚には宝塚映画撮影所があり、その影響あってか市内には多くの映画館がありました。時代の変遷とともに次々と閉館していってしまいましたが、そういった背景があったからこそ、「街に映画館を」という市民の声が改めて高まりました。これに応えるかたちで、当施設に映画館「シネ・ピピア」を開館し、今では宝塚における文化・芸術の拠点の1つとなっています。
50席の小さな劇場が2つあり、東宝系の映画や懐かしの名作を上映しています。配給する映画の選定は、支配人である景山理さんが行っています。
景山さん 震災で失ったさまざまな感情を取り戻すためにも、映画館の存在は大きいと考えました。映画は現実を忘れて、勇気づけられて、明日もがんばろうという気持ちになれます。ここでは35mmのフィルム映画も上映できますし、これからも日常生活だけでは知ることができない感動作品を届けていきたいです。
また、映画を見終わった後は、併設する「バグダッド・カフェ」でコーヒーでも飲みながら、映画の感動を一緒に観た人たちと共有していただければと思います。外に出るとガーデンがあり、自然豊かな宝塚のロケーションを堪能できます。
毎年秋には当館で「宝塚映画祭」を開催しています。戦後の日本映画黄金期の一翼を担った宝塚映画製作所が制作した作品など、こだわりの映画を上映しますので、ぜひいらしてください。
――「ピピアめふ」を利用される世代は広くにわたると思いますが、世代別でどのような施設の使われ方をされていますか?
小山館長 ショッピングや習い事などはもちろんですが、当館には「みるくっく宝塚」という保育施設もあるので、子育て世代の方にご利用いただいています。公益エリアでもそのご家族にお会いでき、子どもたちと交流があったりします。
また、5階には宝塚市役所の出張所があり、証明書の発行や簡易的な手続きを行っており、市民サービスの一部を提供しています。まさに、あらゆる世代にとって必要となる施設といえるでしょう。
――地域の子どもたちとの交流や世代間交流などが実現できるように、今後進めていきたい取り組みはありますか?
小山館長 実は陸上自衛隊から、防災イベントに協力してくださるとお話をいただきましたので、これからそのイベントの構想を考えていきたいと思っています。情報発信はホームページやSNSのほか、毎月1日に発刊される「広報たからづか」や各地の掲示板で掲載しています。ご確認いただき、ご参加いただければと思います。
矢野さん 炊き出しや餅つきなど、食を通じて楽しめるイベントも開催していきたいです。「公益施設」というと堅いイメージがありますが、市民の皆さんが喜んでくれることならなんでもトライしたいです。市民アンケートなどから、そのニーズを捉えつつ展開していきます。
豊かな自然と子育て環境が整う宝塚市中山エリア
――「宝塚市中山」エリアで子育てをする魅力について教えてください。
小山館長 やはり、自然豊かな環境です。生活に必要な施設も偏ることなく各地にあるので、子育てに困ることはありません。
矢野さん 先日、トライアルウィークで学生さんたちが職業体験でここに来てくれました。みんな優しく、なんでもできる素晴らしい方ばかりだったので、宝塚で育つとこのような良い育ち方をするんだと感動しました。子育てしやすい環境がそろっていることもあって、子育てに適した街だと感じます。
――「宝塚市中山」エリアの周辺の、おすすめスポットがあればお聞かせください。
福寿さん 初めて宝塚に来たときに、「やわらかぷりん」という口の中でとろけるプリンに出会って感動しました。家族にも買って帰って、とても喜ばれたのを覚えています。「中山寺」駅から少し南に行った「Kazu」さんという洋菓子店です。
宝塚にはおしゃれな飲食店や洋菓子店がたくさんあって、日々を彩ってくれます。おしゃれな人も多いですし、ファッション施設も点在しています。
――最後に、今後こちらのエリアにお住まいになられる方に向けて、ぜひメッセージをお願いいたします。
小山館長 まずは街を探検して、魅力を感じてください。きっとこの街を好きになっていただけると思います。住まわれた際には、ぜひ地域の方とコミュニケーションを深めていただきたいです。
矢野さん 「ピピアめふ」を子育ての交流の場として高めていきますので、なにかあればぜひ立ち寄ってご相談いただければと思います。
福寿さん 宝塚は自然豊かな環境のおかげか、穏やかの人が多いので、この魅力を保ったまま街が成熟していけばと思います。これから住まわれる方にはその1人となって、暮らしを楽しんでいただければと思います。
ピピアめふ
宝塚市公益施設 ピピアめふ 館長 小山 出さん
事業担当 矢野 名美さん
株式会社関西都市住居サービス 売布営業所 管理課長 福寿 剛さん
所在地:兵庫県宝塚市売布2-5-1
URL:https://pipiamefu.jp/
※この情報は2023(令和5)年11月時点のものです。