西宮市高須町に暮らそうNISHINOMIYA AREA GUIDE

地域有志が運営する多世代交流スペース

新たな循環で地域を活性化。全国のモデルケースになる「まちCafeなごみ」の取り組み

鳴尾地域は西宮市の最南端に位置し、武庫川沿いに南北に長いエリアです。最近では若い世代の人材が地域活性に尽力し、新たなコミュニティが生まれています。その拠点となるのが東鳴尾地区にある「まちCafeなごみ」です。今回、「まちCafeなごみ」を運営する特定非営利活動法人なごみの事務局長、田村幸大さんに活動内容について、お話を伺いました。

特定非営利活動法人なごみ 事務局長 田村 幸大さん
特定非営利活動法人なごみ 事務局長 田村 幸大さん

――「まちCafeなごみ」を立ち上げられた経緯を教えてください。

田村さん 「まちCafeなごみ」を立ち上げたきっかけは、多世代交流の場を作りたいという思いから始まりました。大学時代に子どもたちと関わる社会教育活動をしていた経験が影響しており、その当時、東鳴尾地区となじみがありました。2011(平成23)年に「まちCafeなごみ」から5分ぐらい歩いた場所の古民家をお借りして、子どもが多世代と交流できる集いの場を作りました。その後、「まちCafeなごみ」が立ち上がったので、拠点を完全に移し、今に至ります。

西宮市東鳴尾にある地域交流スペース「まちCafeなごみ」
西宮市東鳴尾にある地域交流スペース「まちCafeなごみ」

――施設の運営やプログラムにはどのような特徴がありますか?

田村さん 「まちCafeなごみ」は一見するとカフェのようですが、西宮市の事業として地域交流スペースとして機能しています。日中は地域住民が集まり、コーヒーやランチを楽しみながら、さまざまなコミュニティに参加します。中には体操や将棋、囲碁などを楽しむ方もいます。これらの活動を通じて、地域住民が自然と交流し、コミュニティが育っていると感じます。

「まちCafeなごみ」には子どもから高齢者まで、多声代の地域住民が集う
「まちCafeなごみ」には子どもから高齢者まで、多声代の地域住民が集う

――過去10年間の運営で特に印象に残っているエピソードを教えてください。

田村さん コロナ禍の期間は特に印象深いです。「まちCafeなごみ」は開いていましたが、多くの人を呼ぶことが難しく、その間の厳しさは忘れられません。しかし、今、皆が再び集うことへの意識が高まっているのも、コロナ禍があったからだと思います。また、10年前に古民家で活動をしていた時の子どもたちが、今では運営側に回ってカフェのスタッフとして働いたり、イベント運営に参加してくれたりしてくれています。その姿を見ると、地域の成長を実感します。

地域住民からいただいた10周年の寄せ書き
地域住民からいただいた10周年の寄せ書き

――施設で行われるイベントや活動について教えてください。

田村さん 定期イベントとしては、子どもから高齢者までの多世代での食事会「なごみで晩ご飯」や地元の野菜などを販売する「もっとほっとマルシェ」を開催しています。また、2023(令和5)年4月から「地域づくり・まちづくり」をテーマにした「Machigaku」という学びの場を始めました。「えほんの学校」や「カメラ・動画の学校」など全12コースが用意していて、全国どこからでも入学・受講ができ、単発での受講と年間通して好きなだけ学べる学び放題が可能です。

地域の人々がこれらのクラスを通じて学び、交流することを目的としています。企画・運営は関西学院大学、武庫川女子、大手前大学などの西宮市内の大学に通う大学生が担っています。その他、地域の中で困りごとを30分500円のワンコインでお手伝いをする「まちのよろず屋」や子どもの不登校に悩む親と子の居場所である「不登校支援toitoi」なども運営しています。

――田村さんが「まちCafeなごみ」を運営されるにあたり、大切にされていることを教えてください。

田村さん 場を作るとその場でのつながりを優先しがちなのですが、実はその場から外に出たときにも、つながり続けられるかが一番大事だと考えています。極論ですが、「まちCafeなごみ」がなくなったとしても、住民同士がつながれる関係性や気にかけあえる地域づくりを大切にしたいと思っています。

取り組みについて、熱い想いを語る特定非営利活動法人なごみの事務局長、田村幸大さん
取り組みについて、熱い想いを語る特定非営利活動法人なごみの事務局長、田村幸大さん

――東鳴尾地区以外の他地域とのつながりはありますか?

田村さん 「なごみ」としての活動がモデルケースとして全国からも注目をいただいておりまして、他県に行ったり、大学に出向いたりして、講義を行うことがあります。また行政から視察で来られることもあります。

――全国のモデルケースとなっているのはすごいですね。なぜモデルケースとして注目されているか、その理由はどう感じていらっしゃいますか?

田村さん 地域を一時的なエネルギーで盛り上げるのではなくて、コミュニティのあり方を考え直して、地域全体を強くしていくという手法を取っているからだと思います。実施していることはカフェや食堂、よろず屋など、めずらしいことは一切ありません。どの地域でもできることを、少しやり方を工夫することで、さまざまな人を巻き込んで、コミュニティを作っていくことができるのです。やりたくてもなかなか難しいという地域が多いので、モデルケースの一つになっているのだと思います。

――東鳴尾エリアの魅力について教えてください。

田村さん 東鳴尾地区の住民は自分たちの街を大切にし、良い街にしようという意識が高いです。下町的な良さがあり、コミュニティが活発です。また、ららぽーと甲子園といった商業施設やスーパーマーケットもあるし、近くには阪神・JR・阪急と3路線の電車が走っているので、神戸や大阪への交通の便も良いです。自然豊かな環境もあるので、子育てにも適した環境だと思います。

縁のあった他地域の物産を展示販売
縁のあった他地域の物産を展示販売

――最後に、これからへ東鳴尾エリアに住まわれる方へ向けてメッセージをお願いします。

田村さん ここはもともとエネルギッシュな地域です。最近は特に若者が地域活動に参加し始めており、新しい循環が生まれています。人が流れることで自然に地域活動が生まれ、これからもっと面白い地域になると思っています。地域の皆さんが一緒になって、これからも素晴らしいコミュニティを作っていけることを期待しています。

特定非営利活動法人なごみ 事務局長 田村 幸大さん
特定非営利活動法人なごみ 事務局長 田村 幸大さん

まちCafeなごみ

特定非営利活動法人なごみ 事務局長 田村 幸大さん
所在地:兵庫県西宮市東鳴尾町2-16-19 グランドムール102
電話番号:0798-20-2333
URL:https://narunago.wixsite.com/machicafe
※この情報は2023(令和5)年12月時点のものです。

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