西宮市高須町に暮らそうNISHINOMIYA AREA GUIDE

新しく暮らし始める親子が、安心して友だちになれる場を提供する「子育てサロン レインボーキッズ」

武庫川団地にある「高須公民館」の1室を利用して月2回開催されている「子育てサロン レインボーキッズ」。同地区の民生委員・児童委員でもある貴山好江さんたちが、立ち上げた“何もしない”子育てサロンは、転勤族の親子の憩いの場となっている。多くのサロンが手遊びや親子体操、リトミックなどのイベントを行っている中で、お母さんと子どもの友だちづくりを大きな目的としている点が大きな魅力だ。まだ地域のことがわからない子育てファミリーにとっても心強い味方になっている。

今回は「子育てサロン レインボーキッズ」を運営する代表の貴山 好江さんとスタッフの東 愛子さんを訪ね、「子育てサロン レインボーキッズ」の概要や取り組みについてお話を伺った。

左から高須地区民生委員・児童委員 貴山 好江さんと東 愛子さん
左から高須地区民生委員・児童委員 貴山 好江さんと東 愛子さん

――まず、「子育てサロン レインボーキッズ」を開設されることになった経緯を教えてください。

貴山さん 2003年(平成15年)7月に「子育てサロン レインボーキッズ」をスタートしました。鳴尾は7地区に分かれているのですが、子育てサロンができたのは6番目と遅かったんです。私は民生委員を務めていたのですが、子育てひろばや子育てサロンを始めることに対して、誰もが賛成してくださる状況ではありませんでした。当時、うちの子どもはもう小学校に通っていました。ほかの地区には子育てサロンがあって、ここだけなかったら、高須地区に住むお母さん方にとっては不利益ですよね。それでも必要性を根気よく説明して、やっとスタートすることができました。

高須公民館の中で「子育てサロン レインボーキッズ」を開催
高須公民館の中で「子育てサロン レインボーキッズ」を開催

最初は「高須公民館」ではなく、武庫川団地12号棟2階の集会室を利用していました。ポスターを貼ったくらいで特に告知も何もしていないのに、50組ものお母さんと子どもたちが集まってくれたんです。もう、芋の子を洗うような状態で、私たちも本当にびっくりしました。それを見て初めて、子育てサロンに反対していた先輩方も「これだけ需要があるんだ」と納得してくださったんです。

程なく、高須公民館で働いていた知り合いから公民館なら無料で借りられると聞いて、こちらに移動させていただきました。

――「子育てサロン レインボーキッズ」の概要、ご利用方法についてご紹介ください。

貴山さん 0歳から未就学児のお子さんと保護者が安全に安心して過ごすことができるスペースとして開放し、出会いや交流の場としてご利用いただいています。開催日時は第2・第4水曜日の午前10時から午前11時30時まで(祝日は休み)。お子さんの一時預かりなどは行っておらず、一緒に遊んだり、お母さん同士が話をしたりする場所を提供しています。

参加方法はとても簡単で、初めての時に受付で参加表を書いていただき、年会費を1家庭につき100円いただくだけです。無料で参加できるサロンやひろばもありますが、私たちは、この100円を利用者さんの保険料に充当しています。ご利用は就学前までとしていますが、幼稚園に行くまでのお子さんが多く、春休みや夏休みは上のお子さんも一緒に連れて来られていますね。

申し込みは不要。初めての参加の際に名前を書いて、1家族100円の年会費を払うだけで毎回利用できる
申し込みは不要。初めての参加の際に名前を書いて、1家族100円の年会費を払うだけで毎回利用できる

――何組くらいの親子が利用されていますか?

貴山さん コロナ前はだいたい20組前後の親子が参加されていました。実は1組~2組に減ってしまった時期もあり、「辞めようかな」と考えたこともあったんです。高須公民館には「高須児童センター」もあるので、私たちがそこに応援に行くことでいいかなと。ですが、「子育てサロンは、親子でゆったり遊べるからいい」というお母さんの声を聞いて、1組になってもいいから続けようと前向きな気持ちになりました。今は、平均すると10組前後の親子が参加されています。

思い思いに遊ぶ子どもたちを見守りながら、おしゃべりに花が咲くお母さんたち
思い思いに遊ぶ子どもたちを見守りながら、おしゃべりに花が咲くお母さんたち

活動メニューやイベントはなく、会話の場を提供している

――「子育てサロン レインボーキッズ」の特徴や魅力を教えてください。

貴山さん 高須地区は転勤族の方が多く、あちこちから引っ越して来られるので、お母さんもお子さんもお友だちがいない方がたくさんいらっしゃいます。そういう方に来ていただき、親子で友だちづくりをしていただきたい、つながりを持っていただきたいと思って、子育てサロンを開設しました。ですので、ここでは特に何もしません。手遊びをしたり、工作をしたりするサロンやひろばもありますが、ここは、子どもたちを遊ばせながら、お母さん同士が出会って話をする場所なんです。

下にある児童センターの先生がお暇な時に、紙芝居や手遊びをしてくれたり、地域の幼稚園の保育士さんが来て子育て相談に対応してくれたりすることもありますが、特に決まった活動メニューや行事のようなものはありません。

子育てに関する情報が記載されたお知らせやカレンダーを配布
子育てに関する情報が記載されたお知らせやカレンダーを配布

――スタッフの役割は何でしょうか。

貴山さん 基本的には、お子さんの見守りや一緒に遊ぶことが中心です。2人のお子さんを連れて来られたときは、下の子を抱っこしてあげたら、ママは上の子と遊ぶことができますよね。私たちもお子さんの様子を一緒に見ながら、子育ての先輩としてちょっとした相談にのったりしています。

高須エリアの子どもの数も以前と比べれば減ってきています。だからこそ、子育てサロンの存在意義は大きいと思っています。赤ちゃんを連れてきたお母さんに、「赤ちゃん抱っこしておくから、ほかのママさんと話しをしておいで」とちょっと背中を押してあげることが、私たちの役割かもしれません。

登録スタッフは10名。保育の仕事をしていたスタッフもいる
登録スタッフは10名。保育の仕事をしていたスタッフもいる

以前スタッフが、少し言葉が遅い子がいることに気付いて、お母さんに「何か子育ての心配ごとある?」と気楽な感じで尋ねたところ、「そうなんです…」と悩みを打ち明けてくれました。どこに相談したらいいか分からないお母さんもいらっしゃるので、適切な専門機関を紹介したり、相談に行くことを勧めたりしています。

――お母さんとの関わりの中で注意していることなどはありますか。

貴山さん スタッフには、お悩みの相談にはのっても、私たちは医療の専門家ではないので「この薬はいいよ」など、責任が伴うことは答えないようにお願いしています。小児科の情報交換などは問題ありませんが、家庭療法についてはアレルギーのある子もいますし、気を付けていますね。

子どももお母さんも「はじめまして」。仲良くなれるかな?
子どももお母さんも「はじめまして」。仲良くなれるかな?

40代のスタッフが新たな力となり、活気のある子育てサロンに

――運営スタッフの年齢幅も広いそうですね。

貴山さん 現在は、40代から70代のスタッフ10名で運営しています。これだけ活気のあるサロンになったのは、実際にサロンに来られるお母さんと近い年齢のスタッフの力が大きいと思っています。友だちを連れてきてくれたり、世間話をしたり……そういったことから少しずつ利用者が増えていると思っています。あの人がいるなら行ってみようとか、話をして楽しかったから次も行こうとか、そんな気持ちになる方が増えてきて、とてもうれしく思っています。

――いろいろな年代のスタッフがいるから、安心して利用できるというお母さん方も多いと思いますよ。

貴山さん お風呂上りに湯冷ましを飲ませるという話を娘にしたら「今はそんなもの飲ませない」と言われました(笑)。自分の時代の子育てを押し付けるのではなく、「今はそうなんだ」と受け入れて、私も勉強させてもらっています。便利な育児用品もあれば、おもちゃも違いますし、幼稚園も4年保育もある時代ですから。

スタッフの中での意見交換も活発に行われている
スタッフの中での意見交換も活発に行われている

――スタッフの東さんも以前はお子さんを連れて来ていたそうですね。

東さん 私も、もともとここに子どもを連れてきていたんです。神戸から引っ越してきて、お友だちもいなかったので、子育てサロンの存在を教えてもらって通うようになりました。ここでできたママ友といろいろなところへ遊びに行ったり、子育てサークルに入ったり、幼稚園や病院の情報を教えてもらったり、ここから広がっていきました。話し相手、相談できる相手ができたことが、何より良かったです。当時のママ友とは、子どもが大きくなった今もお付き合いが続いています。

――「子育てサロン レインボーキッズ」はSNSでの発信などはしていないそうですね。

東さん はい、SNSは便利ですが怖い部分もあるので、SNSを使った告知活動はしていません。西宮市のホームページには載せてもらっていますが、紙媒体や利用している人の口コミがほとんどです。どこのエリアの方が参加してもいいので、少し離れた地区から来られる方もいらっしゃいますね。

お母さん方にもお茶を飲んでもらえるように「お茶タイム」を実施
お母さん方にもお茶を飲んでもらえるように「お茶タイム」を実施

――高須地区の魅力(暮らし、子育て環境など)をお聞かせください。

貴山さん 私も高須地区に住んでいますが、とても便利な地域です。武庫川団地の中にある「メルカードむこがわ」には、コープこうべや衣料・雑貨・飲食などが入っています。交通の便もよく、阪神電車の「武庫川団地前」駅があり、バスの本数も多いですね。

アクセス利便性も良い「武庫川団地前」駅
アクセス利便性も良い「武庫川団地前」駅

どのご家族ものびのび子育てをされている印象を受けますね。高須地区の自慢は、西宮市で一番の規模を誇る自治会主催の夏祭りです。3日間、中学や高校の吹奏楽部の演奏や公民館で活動しているサークルの発表、子どもの好きなアニメをスクリーンで上映するなど、盛りだくさんな内容で毎年とても盛り上がります。

住民の手作りで、去年はたこ焼きや当てものなど、25店ほどの屋台が並び、私も民生委員でかき氷の屋台を出店しました。値段も100円から300円程度で、子どもがお小遣いで楽しめると地元の皆さんにもとても喜ばれています。

ここで育った人が、進学や就職でほかの地域に行っても、夏祭りには戻ってくるという声をよく聞きます。私も「買いに来たよ!」「子育てサロンを利用していた子がこんなに大きくなりました」など、声を掛けていただくのが楽しみです。

――これからどんなふうに「子育てサロン レインボーキッズ」の運営を続けていきたいですか。

貴山さん 私は現在も民生委員・児童委員ですので、子育てサロンに参加されている方で何か問題を抱えているなど気になることがあれば、民生委員・児童委員と連携するなどしていきたいと思っています。

「この地域に暮らすお母さんたちが、少しでも子育てしやすい環境に」という思いを大切に運営されている
「この地域に暮らすお母さんたちが、少しでも子育てしやすい環境に」という思いを大切に運営されている

去年もスタッフの提案で、ハロウィーンの飾り付けをして、お菓子を配ったり、クリスマスには老人会の方がサンタクロースになって、子どもたちにプレゼントを配ったりしました。大きなイベントはできませんが、若い子の感覚で運営してくれたらいいと思っています。私もそろそろ若い子に引継ぎをして……(笑)。高須地区のお母さんと子どもたちをできることでサポートしていきたいですね。

貴山 好江さん、東 愛子さん
貴山 好江さん、東 愛子さん

子育てサロン レインボーキッズ

代表 貴山 好江さん ・ スタッフ 東 愛子さん
開催場所:兵庫県西宮市高須町2-1-35 高須公民館 講堂
開催日時:第2・4水曜日(8月・1月は第2水曜日休み)10:00~11:30
TEL:0798-43-0014(地区ボランティアセンター高須こだま)
※毎週火・金曜日9:30~12:30受付
対象:0歳~就学前の子どもと保護者
URL:https://www.nishi.or.jp/kosodate/kosodate/asobiba/chiikikatsudo/chiki-saron/saron-takasu.html
※この情報は2024(令和6)年1月時点のものです。

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